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2024.02.21
イベント
    #キリスト教文化研究所

【キリスト教文化研究所】本年度第3回研究会を開催しました

2024年1月20日(土)にキリスト教文化研究所本年度第3回研究会を開催しました。
今回は「列聖手続き」をテーマに以下の2つの報告が行われました。

報告1 渡邉浩(本研究所所長)「古代教会における聖人認定」
報告2 小野賢一(愛知大学)「トマス?ベケットの列聖のプロセス―その動態的把握―」

「報告1」で扱われたのは、古代教会における聖人認定です。
報告の前半で整理?指摘されたように、ローマ教皇が関与する列聖手続きはようやく10世紀末以降に開始されたもので、それ以前には今日行われているような厳密な手続きは存在しませんでした。
とはいえ、手続きとまでは言えないものの、聖人(殉教者?証聖者)の公的認定にあたるものは存在し、本報告では、そのような証拠としてミサ典文中の聖人リストと、『354年の年暦文書集』に収められた「司教埋葬歴」と「殉教者埋葬歴」が取り上げられました。
これらのリストに名前が記載されることは聖人として認定されたことを意味しますが、その前提となる崇敬の内容について、聖ペトロを例に、文学的史料、記念碑的史料、典礼的史料から検討がなされ、認定に至る崇敬のあり方には、教会内の信仰問題や政治問題に限らず、異教的慣習からの影響など、キリスト教を取り巻く時代環境が大きく作用していることが指摘されました。
報告後の質疑応答では、殉教者崇敬後の証聖者崇敬の出現や、異教の葬送慣習や殉教者崇敬の関連などが焦点となりましたが、話題は今日のミサにおける聖人の記念にもおよび、今回取り上げられたテーマについて関心が広く共有されました。

2023年度第3回研究会報告記事_写真1.jpg
2023年度第3回研究会報告記事_写真2.jpg

「報告2」で扱われたのは、中世教会における聖人認定です。
「報告1」で扱われた時代と比べて、ローマ教皇が関与する列聖手続きが制度として確立していく時代が考察の対象とされました。
とはいえ、中心となったのは、教皇アレクサンデル3世の教令や教皇グレゴリウス9世の『教令集』が成立する直前の過渡期の状況です。
聖人(殉教者?証聖者)の公的認定にあたるような証拠として、本報告では「列聖請願書」と「列聖教書」が取り上げられました。
これらの文書は聖人として認定されるまでのプロセスにおいて後世の列聖プロセスで重視される文書でありますが、前者は在野から出された文書である一方で、後者は教皇権によって公式に出された文書であるという大きな違いがあります。
報告後の質疑応答では殉教者崇敬後の証聖者崇敬の出現について議論が交わされましたが、史料の比較検討を通じて、古代教会における殉教者崇敬と中世教会における証聖者崇敬の交差する状況を本報告の考察から垣間見ることができました。
そして聖書学の方面から殉教者崇敬の問題の典拠として、旧約聖書外典『マカベア書』の解釈の存在が指摘されました。